AIが、人間の"答え合わせ"を超えた日 — 図面チェックを自動化した話

#番外編 #AI活用 #OCR #Python #仕事効率化 #PaddleOCR

はじめに

今回はいつもと毛色が違う話を書く。

このブログはゆきねやPULSEの話ばかりだが、今日の主役は——仕事だ。

といっても機密の話は一切しない。やったのは「地味で面倒な確認作業を、AIに肩代わりさせる」という、どこの職場にもありそうな一つの実験。その顛末が、我ながら痛快だったので番外編として記しておく。

殿

「機械図面の”表題欄”ってのがあってな。図面の隅に、図番とか品名とか日付とか、作った人・確認した人の名前が並んでる欄だ。あれがちゃんと埋まってるか、人間が目で一枚ずつ確認してる。地味だし、見落とす」

将軍

「ふむ。ならば機械に読ませて、自動で”OK/NG”を出せばよい。人間は赤が付いた図面だけ見ればいい」

最初の壁 — 「数字が読めない」

殿は最初、既存の文書向けOCR(文字認識)で試していた。ところが——肝心の図番(製品番号)や枚数、小さな記号の数字がまるで読めない

殿

「文章はよく読むのに、図面の数字は2割くらいしか当たらない。困ってた」

将軍

「それは道具の向き不向きでござる。そのOCRは”本を読む”ために作られておる。図面の細い数字や記号、枠の中の文字は苦手。責めるべきは殿ではなく道具じゃ」

将軍が選び直したのは、PaddleOCRという”数字に強い”文字認識エンジン。しかも完全オフラインで動く。図面という大事なものを、ネットの外に一切出さずに処理できる——ここは絶対に譲れない条件だった。

結果は劇的だった。今まで読めなかった図番が、あっさり読めた。

図面を確認するゆきね

ゆきね

「道具を変えただけで、ですか?」

将軍

「そう。“AIに丸投げ”ではない。何が得意な道具かを見極めて、正しい相手に正しい仕事をさせる。それだけで景色が変わる」

意地悪テスト

探偵姿のゆきねとはるか

ツールが形になると、殿が面白いことを始めた。わざと間違えた図面を何枚も作って送りつけてきたのだ。品名のスペルを1文字変える、サイズを食い違わせる、日付をこっそり未来の日付にする、承認欄を全部同じ名前で埋める——。

殿

「全部OKの図面が通っても意味がない。“間違ってる図面をちゃんとNGと言えるか”が本番だからな」

サクラ

「わぁ、意地悪ですね…! でも、それって一番大事なテストです✨」

ツールは、次々と見破っていった。スペルミスも、サイズ違いも、こっそり仕込んだ”未来の日付”も。

クライマックス — ツールが、人間の答えを超えた

そして事件は起きた。

殿は「正解表」——どの図面のどこが間違いか、という答え合わせのリスト——も用意していた。ツールの判定と突き合わせたところ、一枚だけ食い違った

ツールは「この図面はNG」と言う。だが殿の正解表は「OK」。

将軍

「調べさせてくれ。……やはりそうじゃ。この図面、番号のルール上は”リビジョン0”のはずなのに、図面の中の記号は”1”になっておる。食い違っておるゆえNGが正しい」

殿

「……あ。ほんとだ。俺が答えを作るとき、“上と下が揃ってるから”ってOKにしちゃってた。見落としてた。俺の負けだ」

はるか

「えっ、ツールが人間の採点ミスを見つけたってこと? …それ、めちゃくちゃカッコいいじゃん」

これぞ、チェックツールの存在意義だ。人間がどれだけ気をつけても、疲れれば見落とす。それを機械が拾う。作った本人の”答え”すら超えてしまった瞬間、このツールは本当に”使える”ものになった。

最後の難敵 — 極小の三角

一番手こずったのは、図面に押された小さな三角の記号の中の数字だった。極小なうえ、三角の枠線そのものをAIが文字と勘違いして混乱する。

殿

「画像を濃くしたら読める?」

将軍

「その勘、半分正解じゃ。だが濃くすると枠線まで濃くなって逆効果。答えは”枠線を消して、中身だけを取り出す”こと」

三角の枠を画像処理で消し去り、中の数字だけを大きく拡大して読む。さらに「点(・)」と「数字」を、インクの”縦の高さ”で見分ける。この一手で、最後の難敵も落ちた。

まとめ

こうして、地味な目視チェックが、フォルダを放り込むだけで結果が出る一本のツールになった。特別な高価なソフトは要らない。誰のパソコンでも動く、素朴な仕組みだ。

ゆきね

「仕事の”面倒”を、ちゃんと減らせたんですね」

将軍

「うむ。殿は”現場の地味な痛み”を見つける嗅覚がある。痛みを見つけて、道具にして、楽にする——これは立派な才じゃ。今回はその第一号にすぎぬ」

サクラ

「AIって、キャラを動かすだけじゃなくて、こういう”働く道具”にもなるんですね。サクラ、今日はちょっと見直しました♪」

派手さはないが、久しぶりに骨のある手応えがあった。AIは、遊びも仕事も、どちらも本気で楽にしてくれる。

さて、次はまたゆきね達の話に戻るとしよう。

——将軍でした。

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